ブックタイトルスポーツ山形100号

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概要

スポーツ山形100号

?アスレティックトレーナーから見たスポーツコンディショニングとは??山形県体育協会スポーツ医科学委員会委員株式会社PhysicalConditionYamagata代表取締役日本体育協会公認アスレティックトレーナー山形県代表矢萩裕スポーツの現場でよくある話で、“大会や試合にピークを合わせるためにコンディション・コンディショニング(いわゆる身体の調子・調整)を整えていきましょう”と話をよく聞きますが、アスレティックトレーナー(以下AT)の立場から考えていきたいと思います。*アスレティックトレーナーからみたコンディショニングの定義コンディションピークパフォーマンスの発揮に必要なすべての要因コンディショニングピークパフォーマンスの発揮に必要なすべての要因をある目的に向かって望ましい状況に整えること。=競技スポーツにおいて設定した目標を達成するためのすべての準備プロセス(公認AT専門科目テキストより引用)ATが考えるコンディションの目的は、1)パフォーマンスの向上2)傷害の予防であります。この目的を達成するために、競技者が不安なく演技に集中できる環境や完璧な身体の体調管理が必要になってきます。そのためには、いくつかの要因を考えなくてはなりません。1)身体的因子筋力、柔軟性(タイトネス、関節弛緩性)、関節不安定性、アライメント(動的、静的)、身体組成(体脂肪、除脂肪体重、体水分量、骨密度など)、神経系(バランス、神経筋協調性)、代謝系(無酸素性、解糖系、有酸素性)、技術(スキル、フォーム、動作)、免疫学的、オーバートレーニングなど2)環境的因子暑熱・寒冷環境、高所順化、時差対策、機内対策(航空医学)、食生活、用具(ウェア、シューズ)、器具、施設、サーフェイス、睡眠など3)心因的因子対人関係、ストレスATは、これらの問題を各競技種目やチームの環境を考えながらチームや個人のコンディショニングを行っていきます。また、コンディションを崩す要因として、下記の問題も考えなくてはなりません。1)トレーニング日頃のトレーニングや試合直前の運動様式・頻度・時間・強度などを間違えてしまえば、パーフォマンスが下がってしまいます。2)ストレス競技者のコンディションとして、様々なストレスも考えられます。a)物理的・科学的ストレス気温・湿度・気圧などの気象条件、大気汚染、水などがそれに考えられ、会場や遠征先などを踏まえて、対策を考えなくてはなりません。b)生理的ストレススポーツ傷害、貧血などスポーツ医学的問題、睡眠不足、胃腸障害などにあたります。c)生物的ストレスウイルス、細菌、減量、休養、時差、生活パターンなどがこれらに当てはまります。d)精神的ストレスプレッシャー、不安、緊張、人間関係、マスコミ対応などが考えられます。以上のようなことを、チームや選手に関わっている方々やチームドクターと連携を取りながらみていかなければなりません。また、日本のトップアスリートのコンディションを作っていくために、文部科学省がオリンピックの現場にて選手のバックアップするための、マルチサポート戦略事業をロンドンオリンピックから行っております。アスリート支援:強化合宿や競技大会における動作分析、ゲーム分析、情報収集、栄養サポート、コンディショニングサポート、心理サポートなどが、各分野の専門スタッフが、スポーツ医・科学、情報等を活用して、トップアスリートが試合で勝つために必要なサポートを実施します。研究開発:科学技術を活かして、選手専用(テーラーメイド型)の競技用具やウェア、シューズ、日本人の弱点を強化するための専用トレーニング器具、コンディショニング、疲労回復方法等の研究開発を実施しております。マルチサポート・ハウス:施設内では、1)分析サポート2)コミュニケーション・リラックス3)リカバリー・コンディション4)情報戦略を目的として、選手村の近くに施設を拠点し、その施設内で食事の提供/トレーニング/医師やトレーナーによるケア/浴槽での温浴/備品などの用具調整を行っておりました。その中でも、非常に選手に受けが良かった、温浴/交代浴(温浴・冷浴)/食事です。交代浴(リカバリープール)は、暖かいお風呂に3分/冷たいお風呂に1分を1セットとして、3?5セット行いますと身体の中で、血液の循環がよくなり疲労回復が得られるということで多くの選手が利用したようです。また、食事の面ですが選手村の中にはレストランがあり、各国の選手が食べやすい物を出してくれるのですが、マルチサポートでは食事担当のシェフが“おいしい日本食を提供できる様に、現場で手の入らない日本食材を運ぶのに非常に苦労した”“おにぎりにした際、冷えてもおいしいお米の選択”“ひじきや高野豆腐などの乾物、調味料なども日本から空輸”といろんな形での選手のコンディションが行われ、多くのメダルが取れたと思っています。これからは、このようないろんな分野の方々と連携をとりながら、選手たちが最高のパフォーマンスができるように、山形のスポーツ界をATとして支えていきたいと思っております。これから行われる平成29年の南東北のインターハイ!6年後の東京オリンピック!に向けて少しでも、私たちATにできることをチーム・地域・競技関係者の方・行政の方とタッグを組み精一杯バックアップできればと思っています。今後ともよろしくお願いします。スポーツ山形10021